仏師名

ふりがな

ちょうかい

長  快

生年(西暦)

( )

歿年(西暦)

( )

幼名

快慶の弟子。

別名

生涯の業績

「木造十一面観音像」   快慶高弟長快の二例目の作品と判明
 ()岡田文化財団パラミタミュージアム(三重県菰野町)は四日、今年度収蔵の「木造十一面観音像」が調査で、仏像と台座を接合する「ほぞ」から「巧匠 定阿弥陀佛 長快」の墨書銘が見つかり、鎌倉時代の著名な仏師・快慶の高弟、長快の作で、奈良・長谷寺本尊の模像であることが判明した、と発表した。
 長快は快慶の直弟子でありながら現在、確認されている作品は京都・六波羅蜜寺の弘法大師坐像(重要文化財)の一体だけ。同像は二例目で、鎌倉期の仏像を知る上で貴重な発見だと関係者は見ている。
 また、同像は建保七年(1219)、奈良・長谷寺で焼失した本尊の代わりに快慶が同年に制作した「復興像」と同じ十一面観音像で、後に長快が「御衣木(みそき)」、つまり、復興像の用材と同木で造立したものであることも判明した。
 調査に当たった元文化庁主任文化財調査官で京都国立博物館名誉館員の伊東史朗氏、平安仏所(京都市左京区岡崎北御所町)主宰の江里康慧氏は、同像は作者名および図像的典拠が分かる点で、わが国美術史上有意義な作品であり、中世、長谷寺を支配していた興福寺の伝来であることがほぼ確かで、歴史的な価値も高いと評価。
 通例の十一面観音像と違い、長谷寺式十一面観音菩薩像は左手に水瓶、右手に錫杖を持つのが特徴。同ミュージアム収蔵の観音像は、
 (1)親指を丸く握り、他の指を伸ばした独特の手つき
 (2)像全体を覆う蓮弁形(舟形)の梵字光背や台座の方座形式
 (3)右足を少し前に出して立つ姿――なども長谷寺式十一面観音像の特徴と一致する。
仏像のほぞ部には作者名が記されていることがよくある。
 今回の調査では岩座(方形で台座の一部)から像を取り外す段階で差し込まれた両足のほぞが硬く容易に抜けなかった。
 両肩から垂れ下がる天衣は、岩座に釘打ちして固定されていた。それを取り除いて台座からほぞを抜くと、右ほぞの外側に「巧匠 定阿弥陀佛 長快」と墨書で銘記されていた。

私 の 想 い

 六波羅密寺の弘法大師坐像は、運慶四男の康勝作の東寺御影堂にある国宝・弘法大師像を模刻したものと考えられている。同門の先輩の作品を手本にしているのだろう。
 例の弘法大師の左手で持つ五鈷杵も、手首を捻って持っている。

作品

所蔵寺院

仏像名

制作年号(西暦)

京都・六波羅蜜寺

弘法大師坐像

天福元年(1233)

以後制作

三重・()岡田文化財団

バラミタミュージアム(菰野町)

十一面観音立像

建保七年(1219)

奈良・東大寺講堂

文殊菩薩像

建長八年(1256)