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仏像観て歩き 会津編

名  称

ふりがな

かみうないやくしどう

上宇内薬師堂

俗称又は愛称

福島県河沼郡会津坂下町大上字村北甲803

最寄駅

開  祖

沿  革

 薬師の名を冠した経典は、大蔵経には十四種ありますが、そのうちの「薬師如来本願経」、「薬師瑠璃光如来本願功徳経」には「東方十恒河沙の仏土の外に世界有り、浄瑠璃と名付け、その国土に仏有り、薬師瑠璃光如来と号す。かの如来はもと菩薩行を行ぜし時、十二の大願を発す」とあります。
 恒河沙とはガンジス河の砂のことで、その砂の数の十倍に等しい仏国土を越えた東方の彼方に、薬師如来の住む浄瑠璃世界があると言う。
 薬師は菩薩行のとき十二の大願を発し、ついに成仏し如来となる。その浄土は「荘厳で極楽の如し、その中には日光・月光の二菩薩がおり、もし人が重病に陥り、死相が現れたときは、その人のために昼夜、如来を礼拝し、供養し、四十九遍のこの経を読誦し、神職還復して、その命が続くことを得る」と説く。
 経典には、十二の大願とは対照的に九横死も説かれ信仰者はこの九難が避けられ、悪病が除去されるという。
 人間の悩みは病気であり、最大の危機といえば「死」である。薬師如来は死を招く「病」から人間を守る。病に打ち勝つ力を与える仏として信仰されています。
 このお堂は元禄九年にかけて薬師如来像をはじめ諸仏を修理し、同年南呂(九月)十二日盛大に落慶法要が行われました。
 このお堂には、金剛力士像を含め、十七の木造の仏像があります。
国指定重要文化財「木造薬師如来坐像」  1躯
福島県指定文化財「菩薩立像」            4躯
会津坂下町指定文化財「十二神将」        5躯
があります。
「上宇内薬師堂」小冊子より 2009年

私 の 想 い

 このお堂も、地域の方や檀家の方が、管理をされているお堂である。電話をして来て頂き、お堂を開けてもらいました。
 お堂の方には、十二神将、日光、月光菩薩が祀られておりますが、肝心の薬師如来様が在るべきところにない。空席になっている。管理の方が、空席になったところで、諸仏の説明に入ったのだが、肝心な薬師様が居られないのでは、と心配になって来た。
 ところが、薬師様が居られるべきところの後ろの扉を開けると、別棟の収蔵庫がある。スリッパに履き替えて、収蔵庫に入る。表からはお堂に隠れて、収蔵庫は見えないのである。火災予防のために、他の仏像とは離れた存在になってしまっている。
 会津特有の幕で仕切られておりましたが、幕が開けられた瞬間に、一堂の参加者に驚きの声が上がった。何と立派な薬師如来坐像であることかと驚いたのである。
 勿論、東北最初の国宝である勝常寺の薬師如来像も立派であるが、それはそれで好い。片方が向日葵であれば、こちらは月見草の味わいである。私はむしろ月見草が好きだ。四天王に踏まれた邪鬼と同じく、世に逆らい、喘いでも日陰に生きる。日陰の人にも、たまには、目を向けてやる余裕があって好い。それで日陰の人も生きて往けるのである。そんな味わいの薬師如来様である。
 神護寺も、元興寺も、新薬師寺も、薬師寺も、東寺も、秋篠寺も、勝常寺もそれぞれ特徴があり、好きである。新しい味わいの薬師如来像を発見しました。

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