仏像名

ふりがな やくしにょらいざぞう

上宇内薬師堂
制作年代

    重文
平安時代

薬師如来坐像

様 式

俗称又
は愛称

製作材質

木造、漆箔
素地

樹 種

ケヤキ

像 高

183cm

製作者

安置場所

収蔵庫

開扉期間

解 説

 豊かな引き締まった面相、頭部から腹部にかけての量感がすばらしく、全身を流れる衣文も洗練されている。
 平安初期の勝常寺薬師如来坐像を写したものとされるが、本像の丸味を帯びたやさしい表現は、九世紀後半以後の作であることを示している。
 ケヤキの一材から頭体幹部を刻み出している。
「古寺をゆく 勝常寺と会津の名刹」より 小学館 2001年

 薬師堂の本尊で、元禄年間(16881704)に中興され現在に至る。ケヤキの一材で、頭部の大部分を彫り出し、像内を刳ることはない。脚部は別に一材を矧ぐが、これは後世に補われたものであろう。堂々とした体躯は重量感に富む。両肩を覆う布のつけ方は勝常寺薬師如来像と同様で、量感のある造形も通じる。ただし表情はやさしくなり、十世紀に入る造立と考えられる。
「仏都会津 祈りの里の仏たち」より 藤森 武 著 2005年

私 の 想 い

 収蔵庫の中の祭壇も、会津特有の幕で仕切られていた。簡単な儀式の後で、幕が開けられた。
「あっ。」
と驚きの声を挙げる。
 写真その他では、知ってはいるももの、実体を眼の前にしたときの驚きと感動である。圧倒されそうな勢いで、仰ぎ見る。暫くして、眼が慣れて来ると、どう観ても、上体と下半身の不釣合いが観得て来る。
 それに頭部と身にまとう衣の傷み具合の違いにも眼が奪われる。気の毒に思うほど不釣合いである。長い年月で、同じ材なのにこれほど傷み具合も違うことを証明している。
 私は、病院である程度の補修をお願いしたい。一方では、在るが儘が好いという考えもなくもない。複雑である。
 しかし、不釣合いなこの薬師様を考えると、病院入りが好いのではないかと思います。皆様なら、どちらでしょうか。
 これには、私もいつも悩んでしまう。むかし、ボストン美術館の快慶作の弥勒菩薩立像が里帰りで、東京に来たことがある。キンピカな像にびっくりして、違和感を覚えた。外国では、当初のように修復をするようである。
 ついでに、もう一言。私の中の唐招提寺の如来形立像は、今のように赤味を帯びていない。何時の時からか、赤味を帯びた彩色を施してしまったのだ。
「責任者出て来い。」
と、言いたい。
 在るが儘が好いのだ。また、悩んで眠れなくなる。

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