仏像名

ふりがな せいたかどうじりゅうぞう

不動院
制作年代

重文
平安時代

制托羅童子立像

様 式

俗称又
は愛称

製作材質

木造
素地

樹 種

像 高

66cm

製作者

安置場所

本堂

開扉期間

解 説

私 の 想 い

 右手は肘を伸ばしてグウを握って下に降ろす。左手は肘をV字に折りグウを握って胸の前で構える。本尊のお不動さまに会釈をしているのか、少し前屈みでもある。
 制托羅童子の私の楽しみは、どんなやんちゃ坊主な姿をしているのかである。新薬師寺は、右手が欠、左手はガッツポーズ。十輪院は、背を丸めて、武器を隠して悪戯をしようとしている。
 浄瑠璃寺は、如意棒を杖にして両手の平に顎を乗せる。戦況なのか、試合の行方なのかを生意気な格好で見詰めている。願成就院は、この不動院と同じ様なポーズである。
 願成就院では、次のように書いている。
このポーズで思い出すのが、二つある。一つは、映画に出て来るヤクザ者の仁義を斬るポーズである。
 もう一つは、野球の右投手が捕手とサインの交換をしている時のポーズである。右手にボールを握り、後ろ手にして腰の後ろでボールの握りを隠す。左手に嵌めたグラブでも、打者からの視線を遮る。額に皺を寄せて、次ぎの一球に思案する。
 平成20年の訪問では、次のように書いている。
この制托羅童子は、やんちゃ坊主の究極の姿である。胸に抱え込んだ左手の中に何かを隠し、右手で如意棒を腰の後ろに潜めて構える。原因が何であるのか知りたくなる。
 この姿で思い出すのが、右投手がマウンドで捕手とのサインの交換の姿である。私の耳の奥には、今でも聴こえて来るラヂオの放送がある。志村正順アナと小西得郎さんの声である。
「ピッチャー別所毅彦、マウンド上で、キャッチャー広田とサインの交換です。解説の小西さん、次は何を投げますか」
「そうです。そうです。何と申しましょうか、別所といえば、アウドロです。決め球のアウドロではないでしょうか」
「別所、グラブを胸に当て、右手にボールを握って、右腰の後ろに隠しています。サインに頷づいて、第五球を三塁側のプレートを踏んで、大きくワインドアップする。第五球を投げました」
と、いう二人の声が聴こえて来ます。その時は、テレビもないラヂオの時代です。

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制托羅童子立像
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