仏像名

ふりがな せいしぼさつりゅうぞう

浄楽寺
制作年代

重文
鎌倉時代

勢至菩薩立像

様 式

文治五年(1189)

俗称又は愛称

製作材質

木造、彩色
玉眼

樹 種

像 高

177cm

製作者

運慶作

安置場所

収蔵庫

開扉期間

解 説

 脇侍の観音・勢至菩薩像も、ヒノキの寄木造、彫眼の像である。造像法も両者共通し、体躯は左右に矧ぎ、両腕は別木で体躯に矧付け、頭部も別木で作り、頚の下数センチのところで、体躯に挿入するように作られている。頭部は左右に矧ぎである。
 両腕から垂れる天衣は後補。銅製透かし彫りの宝冠、胸飾り、持物も後補。金箔彩色等は天保八年(1837)   に加えられたことが、両像の納入木札銘からわかる。
 両像は、きわめてどぎつい金箔が置かれているにも関わらず、その姿勢はまことに、抑揚に富んでいて柔らかい。面相は本尊同様の特色を示すが、体躯は本尊ほど肥満していない。
 天衣や腰裳の衣文線も、繁雑にならず、彫りが深い。背面の衣文も省略することをせず丁寧に彫り込んでいる。両像では頭頂の宝髻が著しく高いのが注目される。
「特別展 鎌倉時代の彫刻」 東京国立博物館 1975年

私 の 想 い

右手は脇を開けて肘をL字に折り、前に出し手首を返して手の平を正面に向ける。親指で中指と薬指を摘まんで、人差指と小指を伸ばす、キツネの指型をしている。
 左手は肘を伸ばしたままに指先を下にして、五指を伸ばし手の平を正面に向ける。左脚の膝を浮かせて曲げている分、右足重心になる筈なのに、上半身がくの字に左に曲がっているので、全体のバランスが真中にあるのだろう。不思議なバランス感覚の像である。丸ぽっちゃのお顔の美人である。
 平成20年の訪問では、次のように書いている。
左手は肘を伸ばし下に降ろして、手の平を開いたまま指先を下にして正面に向ける。右手は肘を折り前に出して、手首を返し手の平を正面に向ける。指の形は「キツネの指型」である。
 いずれの像も、「キツネの指型」で作ったキツネの口の中を通して、蓮華の茎を持たしているのが面白い。五段蓮弁の蓮華台に立つ。お身体の割りに、お顔の小さな美人である。
 左右両方に美女に挟まれた青年阿弥陀如来様は、幸せそのものである。
「うらやましい」
と、感嘆の声を挙げたい。

勢至菩薩立像画像一覧その1
勢至菩薩立像画像一覧その2
勢至菩薩立像
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聖観音と勢至菩薩の比較