この千手観音立像は、40数本で千手観音とするタイプの千手観音像である。1本の手を25本の手に見立てて、千手になるという。25本の手にいろいな武器、仏具を持たせて、いろいろなことに、対応することが出来るようにしました。
一躯の仏像でいろいろな事柄に対応出来る便利な仏像を造って、対応したのである。庶民のいろいろな願いや困りごとにいつでも対応出来る千手もある仏像である。僧侶も旨い事を考えたものである。
また、信者もいろいろな仏像に事柄の毎に、仏像を選ばなければならないのでは大変である。それが、千手観音様一躯で済むのであれば、便利である。
等身大の美しい千手観音立像である。錫杖も短いものを持って居られるので、杖にはならない。何てお呼びすれば良いのか迷ってしまう。
両の脚を太い刻みで下に押し寄せる波のように衣文線が流れ落ちる。太腿のところだけ剥き出しにしたように衣文線を刻まない。そしてまた下に流れる。
収蔵庫のお守り役の方に断って、写真を撮らせていただきました。巧く撮れなくて千手観音様には、申し訳ありません。
3・4人が前に立てば塞がってしまうような間口の狭い収蔵庫である。そんな中に安置された千手観音立像である。あくまでもこの建物は前に立つ本堂と一対と考えるのが筋である。本堂でお願いした願いごとが、本堂を透かして、しかも収蔵庫の鉄扉も透かして、届くのである。
別の棟になっているが、別の寺では、収蔵庫を隣接して建て、一体の建物にして収蔵庫と本堂を鉄扉で遮断する装置を着けている。奈良・吉田寺や安部文殊院などがこの方式である。
一体感ということでは、この方式も好いが拝観という意味では、仏像との距離が離れてしまうので考えものである。いずれにしても、身近で拝観出来て、同じ空間で千手観音像の謦咳にも触れる想いで拝観出来ることに感謝したい。ありがとうございます。
|