仏像名

ふりがな 11めんかんのんりゅうぞう 

奈良国立博物館制作年代

    重文
鎌倉時代

十一面観音立像

様 式

承久三年(1221)

俗称又
は愛称

製作材質

木造、彩色
玉眼

樹 種

像 高

46cm

製作者

善円作

安置場所

開扉期間

解 説

 10年ほど前に発見され、善円の作品の中では最も初期のものとして注目された。胎内一面の墨書と、納入の金剛般若波羅蜜経の奥書に、承久三年の年記と、大仏師善円他多数の人名が記される。経の紙背を、十一面観音の小印仏と、その一体に各一人の結縁者名が2段又は3段に埋め尽くしている。
 善円の作は他に貞応二年〜嘉禄二年頃の旧堀口氏地蔵立像、東大寺の釈迦如来と、西大寺愛染明王(宝治元年1247)が知られ、20年間の足跡がわかる。いずれも藤原彫刻の優美端正さを根底とした巧緻な像である。
 ヒノキ材、頭体前後二材で、首枘を割り矧ぐ。玉眼。漆箔は後補であるが、肉身はもと金箔押で、条帛、裳に彩色が、今も少し残っている。頭上の化仏、左手は新しい補作である。
「特別展 鎌倉時代の彫刻」より 東京国立博物館 1975年

私 の 想 い

 右手は肘をくの字に折り、手首を前に突き出すように手の平を前面に向ける。左手は、脇を開けるようにして、水瓶の口を五指で胸の前で握る。両手には、天衣が形からU字に垂れ下がる。この天衣の下がり方は、余り観たことがない。彫りの鋭い衣文の流れも余り観たことのない独特のものがある。どこがというのもの、あるようで、ないようで、ここがという決定的なものは指摘できない。しかし、重々しい衣の襞を感じる。薄い衣を着けたのではなく、厚ぼったい衣を纏ったという風である。
 お顔は優しいお顔のお嬢様である。丸顔の福与かな美人である。

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十一面観音立像
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