古寺巡礼
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仏像観て歩き 奈良編3

名  称

ほうりんじ

聖林寺

俗称又は愛称

桜井市大字下692

最寄駅

開  祖

沿   革

 安倍文殊院の東北、倉梯川を遡り、多武峠への川沿いの道を約1km登った山間に、小じんまりした石垣の上に寺地を構えた聖林寺がある。
 門前のしだれ桜のもとに、枯れた筆勢の「大界外相」と彫った戒碑が立っている。筆者は江戸時代の河内出身の傑僧、慈雲尊者で、この閑静な寺にふさわしい。
 この門前の石段の上から、今登って来た道を振り返ると、倉梯川の流れに迫る山間の向うに、桜井の町並みが広がり、更にその遠景に三輪山が笠形のスロープを描く。
 三輪山に続いて竜王山、高円山、春日山など山辺の山々が、遥かに霞む。心和む、大和らしい景観の一つである。
 この景勝の地に、寺地の定められたのは、和銅五年(712)に僧定慧が父藤原鎌足の菩提を弔うために、精舎を建てたのが、始まりだと伝えられている。
 定慧の出生や僧籍に入った事情、多武峠妙楽寺の建立などについては、謎の部分が多いが、それは兎も角、その後この寺は妙楽寺の別院として栄えた。しかし、平安時代以後、同じ藤原氏本流の氏寺として栄えた、南部興福寺と妙楽寺は対立し、興福寺僧兵の進攻で再三被災、承安三年(1173)には全伽藍が焼亡してしまった。内紛の皮肉である。
 鎌倉時代に大神神社の神宮寺である、大御輪寺の慶円長老が隠棲の場として、ここに遍照院を建てて再興、元禄時代に僧文春が諸国行脚の末、子安地蔵の大石仏である現本尊を石工佐助に作らせ享保二十年本堂を新築して開眼した。この本尊5.5mの像高である。
 聖林寺を有名にしているのは、天平の木心乾漆像の傑作、十一面観音立像である。慶応四年五月、大御輪寺との縁で、尊譲排仏の嵐の中を、現在法隆寺蔵となっている地蔵菩薩立像などと共に、大八車に乗せられ、この寺に移されたという流転の歴史を持つ。
 フェノロサが明治二十年に訪れて、この像の芸術的価値の高さに驚き、五十円の私財を投じて厨子を寄贈したが、今は防災収蔵庫の堂に移され、全身を拝することが出来る。
 尊像の芸術的価値については、和辻哲郎の「古寺巡礼」でも筆を極めて取上げられており、その容姿の美しさ、作ゆきの立派さは、まさしく、天平彫刻の一極致を示すものとして、今更多言を要しない。
 観音堂の前からの眺望も素晴らしく、足下に小じんまりした句碑が立つ。
「飛鳥」 青山清・小川光三著 より

 平成17年4月の「仏像観て歩き2」の時の記述では次の通りである。
この寺は、今回が3回目である。気持ちでは大和三山と三輪山が見えたと思っていたが、実際は三輪山だけであった。
 最初の時は冬の寒い時で、本堂の右隅で拝観したと思う。前回も今回も収蔵庫に収められ、防火、防犯は充分である。
 ヤフーのトップページの「ヤフージャパン」で、仏像観て歩き で検索すると「仏像観て歩き2」のブログも、「仏像観て歩き」のホームページ「古寺巡礼」も出て来ますのでお試しください。

「仏像観て歩き」トップページ http://www.geocities.jp/gyhrt256/index.html

平成22年11月の遷都1300年「仏像観て歩き」として訪問した時には、次のように書いている。 平日の昼前の時間で参拝者もなく、我々3名だけである。まずは本堂に上がり、手前右側の廊下から眼下に広がる大和平野と三輪山の美しい三角の稜線を堪能する。梵鐘と大和平野や大和平野と三輪山等と思い、写真を撮ってみた。本堂の中からの眺めも試して見る。本堂の中の外廊下側の部屋に、収蔵庫が出来るまでは十一面観音像は安置されていたのである。本堂から収蔵庫に行くコンクリートの階段も撮って見た。

聖林寺画像一覧その1
聖林寺画像一覧その2
聖林寺画像一覧その3
聖林寺花華一覧その1
聖林寺花華一覧その2
聖林寺花華一覧その3
聖林寺所蔵仏像
十一面観音立像
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お礼とお詫びとお断り
当寺の記述を最後まで、ご覧頂きまして誠にありがとうございます。
厚く御礼申し上げます。下記の通り、お詫びとお断り申し上げます。

1.        仏像の写真を紹介出来なかった事です。勝手に掲載しませんでした。
2.        絵葉書、仏像解説書、国宝写真集等々で、有名な仏像については、ご覧になれる機会は多いと思います。
3.    それ等をご覧になりながら、もう一度ここにお越し下さい。 また、別の仏像の楽しみ方が出来ると思います。

4.        ここでは、国宝と重要文化財の指定を受けている仏像を紹介しております。
5.
   「国宝・重要文化財大全」彫刻 毎日新聞社 1998年より選定しました。
6.        像高も上記大全のものを小数点以下切捨てで、記載しました。寺や解説書等と多少違うかも知れません。
7.        掲載した「沿革」と「解説」は寺から頂いた資料や手持ちの解説書からのものを掲載しております。

8.        一番は、実際に寺に行ってご覧になることです。
9.    一つでも好きな仏像を決めて、訪ねると一層「仏像観て歩き」が楽しくなります。      以上