仏像名

じぞうぼさつざぞう

瑞林寺
制作年代

重文
鎌倉時代

地蔵菩薩坐像

様 式

治承元年(1177)

俗称又

は愛称

製作材質

木造、彩色、
玉眼、

樹 種

像 高

84cm

製作者

安置場所

収蔵庫

開扉期間

康慶作

解 説

 国の重要文化財。慶派仏師の作と云われ、像内ほぼ前面に梵字及び漢訳の宝篋印陀羅尼梵字仏頂尊陀羅尼・地蔵真言・大日如来三身真言が墨書されている。平家の持念仏とも云われ古来、目を病む人のお詣りが絶えなかったと言い伝えられている。
「福寿山 瑞林寺」パンフレットより 2012年

◇…檜材寄木造で、高さ84.8cm。胎内銘「治承元年八月 大仏師法橋□慶」から、治承元年(1177)慶派の作と判明。作者は、慶派の基盤を築いた康慶だと考えられている。

「富士おさんぽ見聞録」より 2012年

私 の 想 い

 制作年が1177年という事で最初に思ったことは、運慶が円成寺の大日如来坐像を納めたのが1175年であり、その2年後に当たる。
 そして、全体像が京都・六波羅蜜寺の地蔵菩薩坐像に実に良く似ている。先年東博において、ライバル対決として、運慶が京都・六波羅蜜寺の地蔵菩薩坐像を、快慶が奈良東大寺公慶堂の地菩薩立像で者の決となった。
 その時に運慶は、この地蔵菩薩坐像であり、快慶は、東大寺公慶堂の地蔵菩薩立像で、地蔵菩薩の対決であった。同じ地蔵菩薩ではあるが、坐像と立像の違いである。 この機会に両者の作品で同じものはないか調べてみた。以外に在るようでない。阿弥陀如来では、運慶には坐像はあるが立像がない。快慶には立像は数多くある。不動明王では、快慶には坐像はあるが立像がない。ちぐはぐになっている。
 今回の地蔵菩薩像の対決は、両像の両手の形が、ほぼ同型である。しかし、何もしていない、同じ右手のグーであるが、運慶に分があると見たい。何故なら、何か物言いを云いたいと訴えている。
 これを機会に東京国立博物館も、ちぐはぐでも好いから阿弥陀如来編、不動明王編とか、いくつかのシリーズ化をして、紹介してみてはどうだろうか。

と、書いている。
 その肝心の右手のグウーが、この瑞林寺像と六波羅蜜寺像がそっくりそのままである。何を物語るのかも似ている。そうするとこの部分の作は運慶ということになる。折れ曲げて握る右手の中指が一番長く造られていて、写実を重視する慶派の潮流を踏んでいる。

地蔵菩薩坐像画像一覧その1
地蔵菩薩坐像画像一覧その2
地蔵菩薩坐像
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