平成22年10月10日のご開帳日に併せて、第三十七回「仏像観て歩き」で訪問致しました。
お厨子に本尊の薬師様が安置され、両脇に向かって右に日光、左に月光菩薩を従えている。
薬師如来像及び両脇侍像の薬師三尊像と呼ぶ。この三尊像は左右対称形の三尊形式をしております。三尊に向かって両脇侍が、本尊の内側の腕を伸ばし、外側の腕を折り曲げた姿をしています。
そこで私は、薬師三尊像左右対称内伸形と呼んでいる。薬師三尊にも、阿弥陀三尊にもこの形態は多い。薬師三尊像の国宝では、福島・勝常寺、京都・醍醐寺などがあり、阿弥陀三尊像の国宝では、岩手・中尊寺の三代の基壇共に、重文では、神奈川・浄楽寺などがある。三尊形式の仏像を拝観する時の楽しみの一つにしている。
右手は肘を右太ももに着けV字に曲げ、手の平を正面に向け施無畏印である。左手は肘をL字に曲げ、手の甲を左ふくらはぎに着け手の平に薬壷を乗せる。中指、薬指の二本の指を立て、薬壷が転び落ちるのを防ぐ。
日光菩薩像は、右手は蓮華の茎の元を握り、右腰の前で持つ。左手は肘をV字に折り、茎の中ごろを握って持つ。
月光菩薩像は、右手は肘をV字に折り蓮華の茎の中ごろを持つ。左手は左腰の前で茎の元を握って持つ。腰を右に寄せ、左脚の膝を浮かす。
日光菩薩立像 像高約90cm 木造、漆箔
月光菩薩立像 像高約90cm 木造、漆箔
「私の想い」
ご開帳日に境内で防火の呼びかけをしながら、ビラを配っていた国分寺消防署の署員が居た。直ぐ近くなので、緊急出動の体制は何時でも整っているとのことである。これは署員に聞いて判ることではないが、何処の県でもそうであったが、国指定の重要文化財は堅牢な鉄筋コンクリートの建物で、耐火建築の高床式の収蔵庫に納まっていた。ところが、この薬師堂は、普通の木造建築である。署員は、外には放水銃を備えているという。
個々の寺院に依って、耐火の建物に入れたり、そのままで在ったりと対応が違うのも面白い。いずれにしても、信心も拝観も出来ることで、仏様が快適な設備で在って欲しいものである。
国分寺消防署員に奈良・吉田寺や奈良・安部文殊院の収蔵庫の建て方について解説してしまった。それで思い出すのは、吉田寺の奥様が本堂から表に廻って、説明してくれたことである。建ててから、暫くの間、全国から寺院関係者が見学に来たという。それというのも、本堂の奥に隣接して収蔵庫を建て、本堂と収蔵庫を防火壁と防火扉で遮断する。重文の本尊や脇侍を収蔵庫に安置し、僧侶や信者は本堂から収蔵庫の本尊を拝めるという。吉田寺の翌日訪問した安部文殊院で早速、この建物様式に出会ったのには驚いた。別な方法では、本堂の真後ろに収蔵庫を建てる。棟続きでは無いが、別の建物ではある。しかし、本堂の正面から拝むと、収蔵庫にも通じるというものである。大概はこの建て方である。神奈川・浄楽寺などもこの方式だ。
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