仏像名

 あみだにょらいざぞう

平等院

制作年代

国宝

平安時代

阿弥陀如来坐像

様 式

天喜元年(1053)

俗称又

は愛称

 

製作材質

木造

漆箔

樹 種

 

像 高

283cm

製作者

定朝作

安置場所

鳳凰堂

 

開扉期間

 

解 説

 藤原頼道の建てた、平等院阿弥陀堂(鳳凰堂)の本尊阿弥陀如来像である。この像は、天喜元年(1053)、仏師定朝が造ったもので、上代彫刻中、作者と制作年代が共に判る貴重な師の手本となった、重要な作品である。

 定朝は、父康尚と共に宮廷や藤原氏の造仏に携わり、法成寺五大堂の造営には、大小十六体の像を完成した功により、仏師としては破格の法橋の位に叙せられ、仏師の僧綱獲得という例を開き、興福寺の再建には、その造仏の功により法眼に進められ、頼道が平等院の造営に着手してからは、あるいは本堂の諸仏を造り、また阿弥陀堂(鳳凰堂)の本尊を完成し、仏師として、前代未聞の活躍をした人である。

 また、定朝は外において、仏師の社会的地位を高めただけではなく、内にあっては、造仏における分業的組織を整え、寄木彫刻の完成者と云われている。

 天喜五年(1057)、八月一日歿。定朝の造った彫刻で、今日まで残っているのは、この阿弥陀像だけである。

 その特色は造法が前代のものと違い、寄木法になり、作風は理想化され円満な顔付き、胸が薄く、広く、その上に掛かる納衣には、静かな衣文が刻まれている。

 保存は良く、光背の飛天の付いている雲だけは後補。本尊の周囲を取り巻く、五十二躯の雲中供養仏は、後補の部分の多いものもあるが、藤原期の作と考えられるものもある。

「日本の彫刻 上古〜鎌倉」 美術出版社 1966年より

 

 和様彫刻の完成者と謳われる仏師定朝が天喜元年(1053)、に完成した平等院の本尊阿弥陀如来像である。頭部、体躯は円形を組み合わせて構成され、胸は広く薄く、抱擁力に満ちている。膝は広く低い。衣文線は、程好く整理されて、まさに優雅な貴族好みの仏像となっている。

 造像法も、いわゆる寄木造の典型で、数個の木を組み合せて造られている。定朝は、こうした当時の貴族達の心に叶った、和様彫刻の完成者であるだけではなく、仏師で、僧綱(そうごう)の位にまで昇進した最初の人である。

僧綱とは、

 寺院、僧尼に関する雑事を検校する役。我が国では、僧正を長寛とし、僧都、律師が従属。推古三十二年(624)、始めて僧綱が設けられ、役所は薬師寺から興福寺に移り、平安朝には西寺を僧綱所とした。漸次その職種も増やし、遂には一種の称号に過ぎなくなった。

「日本の彫刻」 久野健編 吉川弘文館 1968年より

 

私 の 想

 極楽浄土を再現したのが、鳳凰堂であり、その中心には、阿弥陀さんがおり、お堂の中は黄金に輝き、雲中供養菩薩が飛び交い、現世でも極楽浄土を体験出来る。

 なんとも、贅沢な世界か。現世に居ながら、極楽浄土を見る事が出来るのだ。しかし、今回は、ご本尊の修理のために、鳳凰堂にも入れない。完全に修復された時に、いずれお世話になりたいと思う。

 平成21年10月に京都・滋賀「仏像観て歩き」・副題「千手観音と十一面観音を訪ねる」と銘打って「仏像観て歩き研究会」の仲間と訪問しました。

 この阿弥陀様に実際にお目にかかるのは、高校の関西旅行以来ということになるが、写真等で拝見しているので、感激はそれほどでもない。

 今回の京都・滋賀「仏像観て歩き」の一つの目的は、定朝様三阿弥陀像の内で未拝観の法金剛院を拝観することでもあった。そして、前回も前々回も拝観できなかった阿弥陀如来坐像と鳳凰堂内部も拝見することであった。

 この仏像を下地にして、法界寺、法金剛院の阿弥陀如来像は造られた。比べて見ると

              平等院         法界寺             法金剛院

像高          283cm     280cm      224cm

材質          木造、漆箔     木造、漆箔        木造、漆箔

印相          上品上生       上品上生        上品上生

目元          半眼         瞑目               瞑目

装束          偏袒右肩       偏袒右肩           偏袒右肩

足組み        右足前         右足前             右足前

制作年        天喜元年(1053)  大治五年(1130)

指定          国宝            国宝            重要文化財

と、ほとんど同じようである。ところが仏像は人と同じで個性がある。雰囲気も違う。平等院の阿弥陀さんの方が年長に見える。

 折角の鳳凰堂の内部に入ったのだが、時間制限の限られた中では、現世の極楽浄土を体現する気分にまでもなれない。案内人の言葉にうなづきながらの時間の早かったことか。そこから、消化して取り込む時間的な余裕もない。

 

阿弥陀如来坐像画像一覧その1
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阿弥陀如来坐像
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阿弥陀如来坐像光背
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