仏像名

ふりがな しょうかんのんりゅうぞう

浄楽寺
制作年代

重文
鎌倉時代

聖観音菩薩立像

様 式

文治五年(1189)

俗称又は愛称

製作材質

木造、彩色
玉眼

樹 種

像 高

178cm

製作者

運慶作

安置場所

収蔵庫

開扉期間

解 説

 三尊には銘札が納入されていたが、いずれも江戸時代に書き直されたものであった。しかし、胎内に記された墨書銘の書風が、後述する不動・毘沙門から発見された銘札と一致することから、三尊も運慶作と断定された。両脇侍像は、確実な運慶作品としては唯一の菩薩立像の例である。
 いずれの像も肉体は太造りで、かつ、ひき締まった肉付け、実在感あふれる強い表情が共通し、この時期の運慶の安定感ある円熟した手腕を伝える。
 三尊とも檜材の寄木造で彫眼とする。肉身部の金泥塗りと着衣の漆箔は後の時代に補われたもの。
「日本の仏像 願成就院と浄楽寺 運慶仏めぐり」より 講談社  2008年

私 の 想 い

 右手は脇を少し開けて肘を伸ばし、指先を下にして手の平を内側前方に向ける。腰を左に寄せた分で脇が開いた感じである。
 左手は脇が閉まって肘をV字に折り、手首を返して手の平を正面に向ける。親指で中指と薬指の二本を摘まみ、人差指と小指を伸ばした、キツネの指型をしている。左に腰を寄せた分で脇が開いていない感じである。
 仏像は首の短い像が多い中でも、この方もご多聞に漏れずに短い。髻を高く結い上げて魅を得る。右膝を浮かせて、左足重心で立つ。
 全体的には、中尊の阿弥陀様を挟んで、この聖観音様と勢至様が左右対称になっているのである。
 平成20年の訪問では、次のように書いている。
勢至菩薩像と本尊の阿弥陀如来像を挟んで、互いに内側の手を伸ばし、外側の手の肘を折り畳んで、蓮華の茎を持っている。この姿が左右対称形になっている。三尊形式に良く観られる形である。
 私は三尊形式の仏像を拝観する時に、まずは左右対称形であるかどうかを、観察することにしている。対称形でなければ、どこが違うのかを注意して観る。
 右手は肘を伸ばし下に降ろして、手の平を開いたまま指先を下にして正面に向ける。左手は肘を折り前に出して、手首を返し手の平を正面に向ける。指の形は「キツネの指型」である。
「キツネの指型」とは、私が勝手に付けた名前である。影絵で子供の頃に良く使った指型で、キツネを表わした。親指で中指、薬指を摘まみ、尖らし口先とする。人差指と小指を伸ばし両耳とする。この指型を「キツネの指型」と名付けている。
 仏像では、結構この指型の像がたくさんあり、便利にこの名前を使っている。

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