仏像名

ふりがな せいたかどうじりゅうぞう

願成就院
制作年代

国宝
鎌倉時代

制托迦童子立像

様 式

文治二年(1186

俗称又は愛称

製作材質

木造、古色、
玉眼

樹 種

像 高

81cm

製作者

運慶作

安置場所

開扉期間

解 説

 肩をいからせ、毘沙門天以上に大きく腰を右にひねり頬をふくらませ顔を左に向ける。左になびく裙の流麗な衣文線は、勢いのある俊敏な身のこなしを表現し、筋肉質の背中からは童子とは思えぬたくましさが漂う。
「日本の仏像 願成就院と浄楽寺 運慶仏めぐり」より 講談社 2008年

私 の 想 い

 右手は肘を伸ばしたままで右腰の後ろに拳を握って隠す。左手は右肩から下がる肩掛けの布を胸の前に回して握る。
 このポーズで思い出すのが、二つある。一つは、映画に出て来るヤクザものの仁義を斬るポーズである。
 もう一つは、野球の右投手が捕手とサインの交換をしている時のポーズである。右手にボールを握り、後ろ手にして腰の後ろでボールの握りを隠す。左手に嵌めたグラブでも、打者からの視線を遮る。額に皺を寄せて、次ぎの一球に思案する。
 平成20年の訪問では、次のように書いている。
やんちゃ坊主の究極の姿である。胸に抱え込んだ左手の中に何かを隠し、右手で如意棒を腰の後ろに潜めて構える。原因が何であるのか知りたくなる。
 この姿で思い出すのが、右投手がマウンドで捕手とのサインの交換の姿である。私の耳の奥には、今でも聴こえて来るラヂオの放送がある。志村正順アナと小西得郎さんの声である。
「ピッチャー別所毅彦、マウンド上で、キャッチャー広田とサインの交換です。小西さん、次は何を投げますか」
「そうです。そうです。何と申しましょうか、別所といえば、アウドロです。決め球のアウドロではないでしょうか」
「別所、グラブを胸に当て、右手にボールを握って、右腰の後ろに隠しています。サインに頷づいて、第五球を三塁側のプレートを踏んで、大きくワインドアップする。第五球を投げました」
と、いう二人の声が聴こえて来ます。その時は、テレビもないラヂオの時代です。

制托迦童子立像画像一覧その1
制托迦童子立像画像一覧その2
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