最初の訪問は昭和36年5月頃の高校三年生の関西修学旅行である。五重塔を背景にした記念写真を撮った位の記憶しかない。
仏像はまだ関心が薄く、極く一般的な高校生であった。その後、仏像に関心を持つようになり、阿修羅像や竜燈鬼や天燈鬼を拝観に行く様になり、昭和45年頃に八尾に住む事になってからは、奈良に来た時には、必ずといってよい程寄っていた。
平成5年頃にまた、八尾に住む事になり、その時にも度々来ている。そして、今回の滋賀・京都の仏像観て歩きでは、最初は来る予定をしていなかった。
「仏像観て歩き」7をそのまま、ここに記す。
昨日浅羽さんからメールを頂き、今日(22日)大阪に行く事になったので、12時に近鉄西大寺駅で待ち合わす事にしました。
西大寺駅周辺では、西大寺(善財童子のかわいい合掌)、秋篠寺(伎芸天の美女姿)、法華寺(十一面観音の官能美)、東大寺戒壇院(四天王の男性の知性)等々、観たい仏像は限りが無い。あえて、今回の旅行は奈良を入れなかったのは、楽しみは後からという思いがあった。
しかし、お世話になった、浅羽さんや矢口社長さんが、来られるのあれば、仏像の核心に触れる仏像を観て頂きたい。しかも今回の旅行から逸脱しない寺を選定して、秋篠寺、円成寺、柳生の里、浄瑠璃寺と浅羽さんと決めた。
西大寺駅に12時ならば、宿題のパソコンを打つべきか、朝早く出発して、12時までに一箇所拝観してしまう手がある。どちらにしようか悩まない。東大寺戒壇院で四天王を観て来よう。
大津のホテルを朝8時に出発して奈良に向かう。10時前に奈良に着いた。駐車場を探すのに奈良公園を車でゆっくりと廻っていた。
すると、興福寺北円堂特別開扉、5月31日までの立看板を目にした。北円堂は運慶の作品がある所である。戒壇院は又の機会にして、迷わず北円堂に決めた。
車を駐車場に入れて急いだ。時間が早くまだ、観る人がいない。北円堂を単独拝観の一人独占である。
そのうちに、チリンチリンと鈴の音がする。リュックサックに着けた鈴が鳴っている。鈴も好いが暫らくすると飽きる。突然、尺八の物悲しい音色に変わった。
傍若無人といえなくもないが、聞くに堪える技巧であるので許せる。下手の人なら、迷惑だ。物悲しいメロディーでさびの効いた音色に聞き惚れる。
正面の方向を確認するために、受付の人に聞きに行った。内陣を確認する為でもある。運慶の晩年の製作として有名である。中央の弥勒如来坐像、無著菩薩立像、世親菩薩立像の三体が運慶の作という。これが運慶と見分けは出来ないが仏像彫刻で、そこまで出来るかと感心は出来る。運慶の作にはそこまで出来るかが在るのである。
北円堂の内陣
広目天立像 多門天立像
世親菩薩立像
無著菩薩立像
大妙相菩薩立像 弥勒如来坐像 法苑林菩薩立像
増長天立像 持国天立像
正面入口
やはり、内陣は入口が南に位置していた。そこで、受付の人に聞いたのだ。
平成十六年年九月に「興福寺国宝展」が東京芸術大学構内の美術館で開催された。五月の時に北円堂の隣で工事をしていたのは、中金堂を復興するための発掘調査であり、建設の準備をしていたのである。
いよいよ、復興に当っての資金集めに、持てる国宝を披露して行こうというのである。第一弾の目玉は、無着、世親の御兄弟に登場してもらう企画である。
いずれ、第二弾、第三弾と続けて行き、興福寺の仏像は外出で忙しくなる。阿修羅さんや五部淨さんも東京まで来る日がやって来るだろう。楽しみである。
さて、今回の国宝展は東京芸大で開催と聞き奇異に感じた。通常、国立博物館での開催が普通である。しかし、普通人が芸大の構内に入る事などあまりない。お蔭で芸大も奏楽堂も知る事が出来た。
集客力の面で、隣の東京国立博物館と比べると見劣りするかも知れない。私が心配する事ではないが。芸大の美術館もなかなかの設備を持っており、こうした展覧会をこれからもどんどんやって頂きたい。
今日は朝から快晴の日曜日である。奈良地方は今日が桜の満開ではないでしょうか。日曜、祭日に興福寺東金堂が開くとあり、予定に入れていた。車で行くよりも、泊まっているホテルが、近鉄奈良駅の一つ手前の新大宮駅前である。
車で行くと駐車場代が掛かるが、泊まるホテルに昼間は車を置いておいて、好いのか聞いたら、無料であるという。そこで電車で行く事にした。近鉄奈良駅に降りたのは、10年振りである。駅前通りの若草山方向を見て、奈良を実感する。
昨年の5月に北円堂に入ったので、また、何かあるか立ち寄る。今回は何もない。前の南円堂へも寄ったが、ご開帳は6月6日という。それまでは居られない。南円堂にも観たい仏像がある。法相六祖像とかである。六つ一緒に観ることがない。単体では、観た事はあるのだが、またの機会に期待する。
まず、東金堂から拝観する。第7日で書いた維摩居士と文殊菩薩のどちらが偉いかの答えが、この東金堂にある。薬師如来の前で両者が座っていらっしゃる。はずだが、講師台に位置する、向かって左側は、不在である。現在山口県で「興福寺展」へ出張中である。
向かって右側には、文殊菩薩が一人お座りになっている。一人と言ったのは、文殊菩薩は、4人のお供を連れて旅をする。象や獅子に乗ったものが多い。
「三人寄れば文殊の知恵」
とか言うので、一人では不利である。勝負は決まったようなものである。
また、両像を観て思うのは、今日は不在だが、東京の「興福寺展」で観ている。写真もある。維摩居士の風貌と手の表情の迫力が全く違う。
一方の文殊菩薩は少年僧である。賢いお顔の少年だが、それは年齢や経験で維摩居士に決まりである。
次に興福寺にまた戻って、国宝館を拝観する。ようやく半分位終わったところで、気力が失せて来た。また、来よう。時間を見ると3時である。腹もへったので昼食を食べる。
メニュー名
「大仏びっくりうどん」650円をたのむ。
「速さにびっくり、大きさにびっくり、安さにびっくり」
と店員にいうと
「そんなお客様にびっくり」
だと。
そして、最後に
「美味しさにびっくり」
でした。
今日は午前中に奈良国立博物館で、奈良の寺所蔵の展示仏を記録して、帰ろうと思います。奈良国立博物館に向う途中で、「メーデー」の会場が奈良公園になっており、開会前の風景を見る事が出来た。
時代の変化なのだろうが、組合旗の赤旗が極端に少なくなっている。また「メーデー」を盛り上げる労働歌も鳴り響かない。労働組合の平和ボケを象徴する「メーデー」です。
これ程、いじめられている、働く人達の先頭に立てない労働組合は、何のために在るのか、頭を冷やして考えた方が好い。だらしない幹部のダラカンは。
また、5月1日でなく、29日に「メーデー」を実施する事に、抵抗ないところが、今風と言えば言えなくもないが、過去の人たちの思いを無視する典型である。迎合もここまで来ると、末期症状である。
ホテルに戻って、電車で興福寺に行く。1時を回っていた。南円堂で写真を買っている時に、今日もメーデーがあったという。先ほど、シュプレヒコールをしながら、下の道を通って行ったという。
真面目な団体もあるのである。メーデーは5月1日に決まっている。曜日や何かで、連休の都合で変える、どこかの国の「国民の祝日」と違う。
どこの団体か名前は聞かなくても大体は察しが付く。迎合しても好いものと、迎合出来ないものをはっきりと、意思表示をする事が大事である。労働者の代表として恥ずかしくない、先頭に立って頑張って欲しい。エールを送りたい。
この興福寺で観たいのは、南円堂と仮金堂の仏像とである。南円堂は観る機会は今後もあるだろうが、仮金堂の仏像は、今計画中の工事が終了しないと無理だという。2010年の完成と言う。それまでは、写真で我慢する事としよう。
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