仏像名

ふりがな にっこうぼさつりゅうぞう

薬師寺
制作年代

国宝
飛鳥〜奈良時代

日光菩薩立像

様 式

俗称又は愛称

製作材質

銅造
鍍金

樹 種

像 高

311cm

製作者

安置場所

金堂

開扉期間

解 説

 文献的には、はるかに持統十一年説の方が有力なのに、なお、養老二年説が起こったのは、この三尊の持つ様式が、今まで述べて来た白鳳彫刻に比べ、はるかに成熟した様式を示しているためである。
 この薬師如来像の顔付きを見ても、日光菩薩増の体付きを見ても全く童顔形を脱皮し、衣の表現にも一層写実味を加えている。ことに日光・月光像は、わずかに腰をひねり、片足を浮かせ、動的になって来ているのである。こうした変化は、すでにこの三尊像のころから、新しい初唐の影響が始まった証拠である。
「日本の彫刻」 久野健編 吉川弘文館 1968年より

私 の 想 い

 阿弥陀如来ではないが、上品下生に印を結んだ手、中でも指のしなやかな仕草が、いかにも自然で女性の姿勢美を極めたものである。余りにも両像が美しいので、その指の仕草がキザに写らない。自然に感ずるのも全体が美の結晶とでも言えるほど、美の限りを尽くしているからであろう。
 内側に(本尊に対して)腰をひねり、細く括れたウエスト、そして、太く大きく拡がるヒップ。白鳳時代にしても、もう女性美を表現して余りある。
 この像のような女性が美しいという、美女への憧れを観るようである。西洋ではミロのビーナスとするなら、日本では、白鳳の美女のこの方が美女の原点ではないだろうか。
 装身具をたくさん着けて、美しく着飾り、更に美しくなろうという、女性本能を表わしているのだろう。これでもか、これでもかという美への飽くなき探求がそこにある。
 美しく、淑やかで、しなやかな女性への憧れが、作者をして創らせたのである。この像に憧れるのは、白鳳の作者だけではない、私自身も憧れているから、くだくだと言っているのである。
 薬師さんに理性で煩悩を消すと、誓ったばかりなのに、また、煩悩に悩む。まだ、まだ仏の道は遠い。
 右手は脇を締めて肘を折り、前に出して手首を返し、手の平を正面に向けている。指の形は上品で、親指で人差指を摘み、中指、薬指、小指を伸ばす。
 左手は少し脇を開けて、肘を伸ばし真下に降ろし、手首を直角に曲げ手の平を下向きにして、指の形は上品である。他の三指は伸ばしたままで軽く丸く曲げている。
 頚を右に少し傾け、上半身が左に寄り、腰が右に寄せ、体全体がS字形になっている。左足が半足前に出している。三段の蓮弁の蓮華台に立つ。
 日光菩薩と月光菩薩の違う点(像の左右は像自身)
1. 月光菩薩の額に着いている頭髪止めが欠けている。
2. 日光菩薩は右に、月光菩薩は左に頚を少し曲げている。
3. 日光菩薩は右手を、月光菩薩は左手を曲げている。
4. 日光菩薩は右手の指が上品ではっきりと開き、月光菩薩は左手の指が、上品で
あるけれども他の三指も曲がっている。
5. 日光菩薩は左足を、月光菩薩は右足を少し浮かして、衣が張るように膝が出る。
 平成20年4月「国宝 薬師寺展」で東京国立博物館に来た時には、次のように書いている。
後ろは、
 裸身にシヨールが背中の上部を覆う。女子高生のセーラー服の後ろ姿を見るようだ。左肩口から瓔珞の紐は、右腰まで背中の真中を斜めに横切る。この瓔珞の紐は、日光、月光が本尊の薬師を挟んで左右対称になっているのであるから、当然にこの紐も、対称になっていなければならない。ところが同じように左肩口から右腰に、背中の中央を斜めに横切っている。
 腰から下のスカート状の裙は、両側が襞を女子高生のスカートのように縦に襞を刻む。
後ろの中央のスカートは、上から順に
右腰からJの字
左腰からしの字
右腰からJの字
左腰からしの字
を書いて中央で止める。上から四段の文字を描いて下に下がる。裾は二重に重なるところが左右に2ヵ所ずつある。
 また、前に廻って、左手首から下に垂れ下がる天衣が手首からが欠ける。右肘から下に垂れ下がる天衣が右腰辺りから先が欠ける。両方の欠けた先が、台座に垂れて端が描かれている。
両腕に巻かれる臂釧は、腕の真横にエンブレムが向いている。

日光菩薩立像画像一覧その1
日光菩薩立像画像一覧その2
日光菩薩立像画像一覧その3
日光菩薩立像
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日光菩薩と月光菩薩の比較表