仏像名

ふりがな こうもくてんりゅうぞう

東大寺
制作年代

国宝
奈良時代

広目天立像

様 式

俗称又は愛称

製作材質

塑造
彩色

樹 種

像 高

162cm

製作者

安置場所

戒壇院

開扉期間

解 説

 この一具も、元から戒壇院にあったものではないようだ。三月堂の日光・月光像と一緒に、どこかの堂に安置されていたものと想像される。技法も等しく円熟したもので、同じ静かなムードに統一され、後代の四天王像のように、激しい動勢を見せぬのも、注目される。
 特に広目・多門二像の、遥かの無限に視点を執る眼差しには悠久の思いがある。いま像は塑土の素地を表わしているが、日光・月光両像と同様、元は華やかな彩色があったものである。
「仏像の美 見かた考えかた」 社会思想社 1968年より

私 の 想 い

 右手に筆を持ち、左手で経巻を持つ姿は、極有り触れた広目天である。しかし、この方の遥か遠くを見据える眼は、有り触れた広目天と違っている。物を言う眼である。四天王の内でも文武に長けて、それに相応しい姿である。
と、30数年前に書いている。
 平成17年4月の「仏像観て歩き2」では、次のように書いている。
右手は脇を開けて肘を伸ばして、下に降ろしペンホルダーで筆を持つ。左手は脇を締めて肘を直角に折り、前に出して経巻を握る。
 邪鬼は横向きに寝かされ、右腰に右足を、右肩に左足で踏まれている。邪鬼は踏まれながら
「大将。何処まで見えますか」
と、ギョロ眼で問うている。文武の大将に従順である。
 厳しい表情と遠くを、鋭く見つめる眼の輝きがこの広目天の魅力である。この眼差しを人によっては過去の悔恨と見るか、未来への展望を夢見る眼と見るか、分かれるところだが、いずれにしても、そうした過去や未来について、我々も日頃から考える時間を持ちたいものである。
 仏の教えは坊主が説教するだけでなく、仏像を媒体にして自分で感じるのも立派な教えである。その方が眠くなる坊主の説教よりも余程効果がある。

広目天立像画像一覧その1
広目天立像画像一覧その2
広目天立像画像一覧その
広目天立像画像一覧その4
広目天立像
東大寺に戻る
東大寺画像一覧その1 東大寺の写真が楽しめます。
東大寺画像一覧その2 東大寺の写真が楽しめます。
東大寺画像一覧その3 東大寺の写真が楽しめます。
東大寺画像一覧その4 東大寺の写真が楽しめます。
東大寺画像一覧その5 東大寺の写真が楽しめます。
東大寺画像一覧その6 東大寺の写真が楽しめます。
東大寺花華一覧その1 東大寺の花々の写真が楽しめます。
東大寺花華一覧その2 東大寺の花々の写真が楽しめます。
東大寺所蔵仏像
戒壇院
持国天立像 増長天立像 広目天立像 多聞天立像
愛染明王坐像
東大寺1(大仏殿)に戻る
東大寺(法華堂)に戻る
東大寺(二月堂)に戻る
東大寺(四月堂)に戻る
東大寺(戒壇院)に戻る
東大寺(その他の堂)に戻る


四天王の考察