仏像名

ふりがな ぞうぎょうざぞう

六波羅蜜寺
制作年代

重文
鎌倉時代

僧形坐像(伝平清盛)

様 式

俗称又
は愛称

製作材質

木造、玉眼
彩色

樹 種

像 高

82cm

製作者

康勝作

安置場所

宝物館

開扉期間

解 説

 経巻を手にしたその風姿は平家物語に描かれている清盛の傲慢さは全くなく、仏者としての気品を覚える。一門の武運長久を祈願し、朱の中へ血を点じて写経した頃の太政大臣浄海入道清盛公の像である。
「六波羅蜜寺」縁起より

 京都・六波羅蜜寺にある平清盛と伝える像は、両手で経巻を開く僧形として作られ、恐らく鎌倉期もかなり早い頃の彫刻であろう。この姿に何を示そうかとするのか、あまり明白でないが、やはり動作を示す肖像彫刻の一つとして付記しておきたい。
「日本の美術 肖像彫刻」 至文堂 1967年より

 この僧形像は平清盛と伝えられるが、その真偽は明らかでない。両手に経巻を持ち、ふと空に目を投げかけて考え込むその瞬間が良くとらえられており、面貌の写実的表現、体部は動きとボリュームを大つかみに捉えて細部に拘らぬ彫法は心憎い。鎌倉初期の制作であろう。
「仏像ガイド」 美術出版社 1968年より

「山州名跡志」に「平家浄海入道像」とあるのがこの像である。清盛は出家して浄海と称した。清盛像とする伝承の真偽は確かめられないが、もし伝承とおりなら、清盛の邸宅があったこの地に、平家滅亡後の鎌倉時代に肖像を造った理由は、鎮魂のためである可能性が高い。
 脚部に大きく垂れる左袖をはじめ、随所に奈良時代の塑像の質感を写したような彫りが見られる。
「六波羅密寺の仏像」より 東京国立博物館 2008年

私 の 想 い

 右手で経巻の片方を持ち、左手も経巻のもう片方を持っているが、左手で次を捲ろうとしている。捲ったところまで読んで、次に進もうとしている。左手首を返している。
 眼は経巻というより、宙に浮き、藪睨みになって、焦点が定まらない。
「勉強し過ぎて頭がおかしくなった。天下人になって世の無情を嘆く毎日だ」
と、末を按じている。
 平成20年7月に東京国立博物館で六波羅蜜寺展がありました。
新しく巻き替えられた経巻をもっている。闇夜でこんな人に出会ったら、腰を抜かしてしまうだろう。この人が平家の総大将とは思えないような風貌である。
 平成21年10月に京都・滋賀「仏像観て歩き」・副題「千手観音と十一面観音を訪ねる」と銘打って「仏像観て歩き研究会」の仲間と訪問しました。
 東京国立博物館の時とは違った経巻だったようでした。あの権力者がこの姿なのか。死因の関係か。梅毒で死んだと言われている。本当かしら。

僧形坐像(平清盛)画像一覧その1
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僧形坐像(平清盛)
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