仏像名

しゃかにょらいざぞう

室生寺
制作年代

国宝
平安時代

釈迦如来坐像

様 式

俗称又
は愛称

製作材質

木造
彩色

樹 種

ヒノキ

像 高

105cm

製作者

安置場所

弥勒堂

開扉期間

解 説

檜の一木で彫成した、高さ1m余りの等身像ではあるが、真に堂々たる偉丈夫の趣がある。端正な顔容は、知的な美しさがみなぎり、リズミカルな翻波式の衣文は、一際美事な彫刻の美を表わしている。
 しかもこの像は、完成された翻波式の刀法を示す一好例であるばかりでなく、我が国の平安初期彫像の中でも特に秀れた傑作の一つに数えることが出来るのである。
「室生寺縁起」より

 室生寺弥勒堂に客仏として安置されているのが、この釈迦如来像である。この像は、全く文献的伝来を欠いているが、貞観時代に流行した一木彫で、翻波式の美しい衣文を有していることや、室生寺の寺史から考え、史家により、貞観末期と考えられている。
 やや、優美さを加えた顔付き、重厚さを減じた体躯等は、貞観時代も終りに近くなっていることを物語る。
 ことに、やや煩瑣にさえ思われる翻波式衣文の繰り返しと、背中の中央にある背刳りはこの像が、次の藤原時代に近付いている事を示すものである。
 像は、もとは彩色があったものであるが、それは殆んど剥落し、白っぽい下塗りだけが残っている。台座は恐らく別のものを、本像に移用したものであろう。
「日本の彫刻 上古〜鎌倉」 美術出版社 1966年より

 堂内の脇の壇に客仏として安置されているが、我が国の平安時代前期彫刻の白眉とも言える有名な仏像である。
 羅髪のない、小さめの頭部にどっしりと安定感のある姿勢、とりわけ身体を被う衣の翻波式衣文はリズミカルで明快である。
 この像の翻波式刀法の特色は、大波と小波をほぼ同じ高さで彫って、装飾的効果を強めているところにあろう。貞観彫刻の円熟した彫技を堪能させるに十分な像である。
 その魅力は誰をも立ち去り難くさせる。なお、弥勒堂には、この像のほかに山林修行の寺に相応しい役行者像が祀られている。
「女人高野 室生寺」2005年より

私 の 想 い

 弥勒堂で向かって、右側の部屋に安置されている。薄暗い部屋で静かに坐っておられる。お釈迦様が本尊でなく、脇侍で国宝である。
 弥勒堂の本尊はもちろん、弥勒菩薩様であるが、こちらの方は重要文化財で1ランク下の方と言う事になる。
 堂々としており、国宝も重文も意に介さず、至って平穏である。この方の余裕ある姿に接するとこちらも心が落ち着く。
 平常心というが、このお顔が本当の平常心を表わしているように思う。降摩座に組んだ足は、左素足の足首から先が、右ふくらはぎの上にどっしりと乗って観える。
 しっかりと形にはまった、施無畏印と与願印でこの形は変わらないと示しているように観える。
 平成22年7月に三井記念美術館に来た時には、次のように書いている。
 弥勒堂で向かって、右側の部屋に安置されている。薄暗い部屋で静かに坐っておられる。お釈迦様が本尊でなく、脇侍で国宝である。
 弥勒堂の本尊はもちろん、弥勒菩薩様であるが、こちらの方は重要文化財で1ランク下の方と言う事になる。
 堂々としており、国宝も重文も意に介さず、至って平穏である。この方の余裕ある姿に接するとこちらも心が落ち着く。
 平常心というが、このお顔が本当の平常心を表わしているように思う。降摩座に組んだ足は、左素足の足首から先が、右ふくらはぎの上にどっしりと乗って観える。
 しっかりと形にはまった、施無畏印と与願印でこの形は変わらないと示しているように観える。
と以前に書いている。
 蜘蛛の巣とカビで嫌われた新潟を経て、東京までやって来ました。
「お疲れ様です。」
とお声を掛けたい。
 如来の特徴である肉髻の丸味が良く判る仏様である。また、釈迦如来の典型的な印相である。施無畏印と与願印の典型的な坐像である。
 平成22年11月に遷都1300年「仏像観て歩き」として訪問した時には、次のように書いている。
 本来の座るべきところにお座りになっていらっしゃいました。今日はお行儀の良いお嬢様がたくさんお越しになって、華やいだ雰囲気が残っており、お釈迦様もにこやかにお見受け致します。
 このお釈迦様は、左利きかも知れない。普通とは逆に降摩坐にお座りになっている。仏像は、普通は右足前の組み方の吉祥坐が多い。
 BSフジテレビの「日本人こころの巡礼」という番組で京都・神護寺の五大虚空蔵菩薩の解説の中で、この虚空蔵菩薩の座り方を降摩坐と説明していた。本当は右足前の吉祥坐の組み方をしているのである。
そこで、
 フジテレビに間違いを指摘しました。受付の電話嬢は番組担当者に伝えておきますという。
ところが、
 後日の再放送では、問題の箇所のコメントを削除して放送し、初回の解説の誤りを訂正もことわりもない。朝の運勢と同じ様に、当たるも当たらずとも関係なし、流しっぱなしで知らん顔である。引用先も何もない。勝手に作って、勝手に流す。垂れ流しである。
余りの扱いに
 もう一度フジテレビに電話をしました。同じ受付嬢で、当方の言わんとすることを直ぐに理解してくれて、担当者に繋いでくれました。
担当者曰く
「当方は西村公朝先生の解説を基にしています。」
だと
「何に西村先生の解説が誤りで、フジテレビは亡くなった人に、責任を負わして逃げるわけ」
と、云ってやった。
 白を黒と言って置いて、その音を消して後は黙っている。挙句、それを指摘すると、死人に口なし。(既に西村公朝先生は故人)西村公朝先生も飛んだ所で理由にされてしまった。この担当者に言いたい。
「君それはないよ。卑怯だよ。」
やっていることが、判っていない。

 私もたくさんの西村先生の著作を読んでいますが、吉祥坐を降摩坐と解説した著作があるとは知りません。フジテレビがそう言っていました。
 もしも、そんな言い訳をする前に、最初に
「この放送は、西村公朝先生の解説を基本に製作しています」
とことわりを要れれば好い。
 そうするか、偉い大学の先生の監修を受けて放送するなり、担当者自身がもっと勉強してから製作するしかない。
 どうしても放送するなら、誤りは認めて、より良い内容にするために。改めて、詳しく内容を説明して、違いを説明すれば視聴者の関心も上がり、良いものになる。

 飛んだ所で、テレビ批判になってしまいました。お釈迦様ごめんなさい。
大物仏像でも、この座り方の方が何躯かある。福島・勝常寺 国宝薬師如来坐像もこの座り方である。

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