仏像名

ふりがな   こんごうほうぼさつざぞう

教王護国寺
制作年代

国宝
平安時代

金剛法菩薩坐像

様 式

俗称又は愛称

製作材質

木造
漆箔

樹 種

像 高

95cm

製作者

安置場所

講堂

開扉期間

解 説

 金剛法菩薩像は五菩薩の一つで、東南方に配置される。五菩薩は五仏の慈悲の作用を表わし、奈良時代の菩薩像の伝統を継承して、適度な肉付けによりのびのびとした姿に造られている。
 しかし、奈良時代の菩薩像との目立った相違が一つある。それは両手の構え方、すなわち印の結び方である。奈良時代の菩薩像は、持物を持たない場合は、施無畏印と与願印とが多く、他に頬杖を突く弥勒菩薩の印などもある。
 これら奈良時代の仏像の印は、あくまで、人間の自然な姿が基本になっている。ところが、五菩薩の印は、こと更に何かの意味を表わそうと、不自然な構え方をする。たとえばこの金剛法菩薩像は、右手を開き左手を拳とし、両手を揃えて胸の前に構える。
 このように多種多様の印に、それぞれ何かの意味を込めているのは、柔軟な手首の運動が見える人に、不思議な印象を与えるインド舞踊と同様、全くインド的な表現という事ができる。

 そして、印に込められた意味とは、各仏像の持つ機能、すなわち、それぞれの仏功徳を表わし、更に仏の功徳の符号に留まらず、仏の功徳を成就させる、呪術的な力を持っていると信じられた。
 この様な印は、単に菩薩だけではなく、密教の如来、明王部、天部の諸像にも定められていて、密教像の著しい特色の一つになっている。
「京都の仏像」 淡交社 1968年より

私 の 想 い

 東方の段の菩薩部、西南隅に座る。右手は脇を少し開けて、肘を折って前に出し、手首を折って手の平を正面に向ける。施無畏印である。
 左手も脇を少し開けて、肘を折って前に出し、人差指を丸めて握る。智拳印である。つまり、両手が胸の前で、右手は施無畏印を、左手は智拳印をしている事になる。
「私にはこれだよ」
と左手で言っている。
「これって、何ですか」
「これって、頭さ、頭が良くなる事さ」
「頭が良くなる。魚を食べると」
と聞いた事がある台詞だ。

金剛法菩薩坐像画像一覧その1
金剛法菩薩坐像画像一覧その2
金剛法菩薩坐像
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特殊名称の観音菩薩像