仏像名 |
みろくぼさつざぞう |
醍醐寺 制作年代 |
重文 鎌倉時代 |
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弥勒菩薩坐像 |
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様 式 |
建久三年(1192) |
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俗称又 は愛称 |
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製作材質 |
木造、切金 玉眼、金泥 |
樹
種 |
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像 高 |
112cm |
製作者 |
快慶作 |
安置場所 |
三宝院護摩堂 |
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開扉期間 |
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解 説 |
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この彫刻はもと岳東院本尊であったが、後に菩提寺に移され、義演の時にここに安置されて現在に至ったものである。膝裏に「願主勝賢建久九年仏工安阿弥陀仏」の銘があり快慶の作と知られるが、何処か宋風な気分を感じさせる風貌を持っている。 「醍醐寺」より 醍醐寺三宝院の本尊。上醍醐覚洞院伝来で、建久三年(1192)三月十三日に崩御した後白河院(1127〜92)追善の護摩堂本尊に比定される。像内両脚部の朱漆書により、同年八月五日に醍醐寺座主勝賢(1138〜96)が発願し、「巧匠アン阿弥陀仏」すなわち快慶が造立をはじめ、同年十一月二日に供養されたとわかる。 高髻を結い、宝冠を戴く菩薩形ながら、如来のごとく袈裟を通肩にまとう点に特色があり、両手は腹前で定印を結んで五輪塔を載せる。興然(1121〜1203)が著した「図像集」にしるされる「私伝、建久三年之秋之比、法皇御料醍醐権僧正勝賢如法被奉造立此像云々」は、本像を指すとみられるが、同年代において「法の如く」造立した如法仏と認識されていたことが注目される。袈裟をまとう服制は、「慈氏菩薩略修愈誐念誦法」の「慈氏如来」規定に依拠するものとみられ、両手に塔を載せるかたちも、入三莽地の弥勒如来の印相として経軌に述べられる。X線透過撮影で髻内部に確認された、舎利を奉籠した水晶製と思しき五輪塔は、弥勒像の頂上に七粒の舎利を納めて持誦すれば、弥勒の授記説法にまみえると説く「慈氏念誦法」にもとづく納入品とみられるなど、本像は「慈氏念誦法」の規定にもとづいた如法の造像ととらえられる。 ヒノキ材の寄木造で、玉眼を嵌入し、全身を金泥塗としたうえで着衣部には截金文様をほどこす。鎌倉時代以降、金泥塗は化身の金色表現の主流となるが、本像が現存最初期の作品である点も見逃せない。光背・台座の補修は、醍醐寺座主義演(1558〜1626)が著した「義演准后日記」にくわしく、台座は寛永二年(1625)の新造、光背附属の化仏九躯のうち五躯もこのときに補われた。 両目を見開いた明快な顔立ちは、清新さと気品を兼ねそなえ、着衣を通して伝わる体躯のみずみずしい肉付けにも、洗練された造形感覚が発揮される。左右相称に整然と配された衣褶表現もふくめ、快慶独自の端整な作風がここに成立した。しかるべき由緒をそなえた、快慶初期にして随一の傑作である。 「快慶展」図録より 奈良国立博物館 2017.06.02. |
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私
の 想 い |
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吉祥座に座り、定印に結んだ両手の平に、宝珠を載せる。快慶の作といわれれば、そうかも知れない。面相が四角い顔や耳の造りや髪の生え際の処理等、何となく異国的で綺麗に出来ている。 平成26年7月に「法隆寺夏季大学」入校の際に奈良に、行ったのでその時に奈良国立博物館で開催中の醍醐寺展で拝観する。 この像やボストン像や東大寺中性院像を観ると、弥勒菩薩は何時の間にか、女性像に思得て仕舞う。また、思惟像の中宮寺像や広隆寺像等も似た感じになり、弥勒と云われる像全体に広がりが私の中にはある。 醍醐寺には、弥勒菩薩坐像、建久三年(1192)製作と不動明王坐像、建仁三年(1203)の2躯がある。また、先年帰国した米国ボストン美術館所蔵の弥勒菩薩立像、文治五年(1189)、もある。このボストン像が前々回に帰国された時に拝観したのだが、記録が残って居ないので詳しくは覚えていない。しかし、金ぴかな仏像であり、日米の保存の違いを感じ正直落胆した覚えがある。 平成29年6月に奈良国立博物館で「快慶展」が開催され、日本全国からも米国からも快慶作の仏像が集められた展覧会が行われました。 この「快慶展」の先頭に立って、展覧会の露払いの役を務めている。第2作目ということだそうだが、華麗さや端正さもその後も続く、彼の特徴の片鱗が表わされている。 像全体は、左右対称形に造られていて、変化に乏しい。お顔の四角いところも快慶の特徴である。 三宝院と言えば、豊臣秀吉の「醍醐の花見」が有名であるが、この天下人は、弥勒菩薩を背にお花見をしたのだろうか。茶の湯や花見の風流人のこと、弥勒菩薩を背に花見如きは、朝飯前かも知れない。金堂を和歌山の湯浅から中味の薬師三尊から外観の建物全部を移築させたというのであるから、そのエネルギーたるや相当なものである。加計学園や森友学園如くは、秀吉も遣っていた事である。権力者が権力を嵩に政治をするのは、世の常というものである。 |
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弥勒・不空羂索の所在と制作年代 |