仏像名

ふりがな あみだにょらいざぞう

広隆寺
制作年代

国宝
平安時代

阿弥陀如来坐像

様 式

俗称又
は愛称

製作材質

木造
漆箔

樹 種

像 高

263cm

製作者

安置場所

講堂

開扉期間

解 説

 この像は弘仁時代の作と伝えられ、木造漆箔である。顔は豊満な輪郭を示し、体躯も肩幅も広く、両臂を張り堂々とした落着きを見せ、重厚な感じを与えている。
 又、衣紋の作り方に少しも淀みがなく、特に膝の褶襞は上体の重厚さを受け、十分に厚みを感じさせ、像の比例と力の均衡が良く調和している。光背も簡素であるが像との調和が良い。
「広隆寺縁起より」

 この阿弥陀如来像は淳和天皇の妃永原御息所の御願により、天長年間(82434)、に造られたと云われている。
 この頃の阿弥陀信仰は、天平十三年(741)、に東大寺に阿弥陀堂が造営され、下って天平宝字五年(761)この阿弥陀堂を継承した、法華寺に阿弥陀浄土院、諸国のなって来たのである。国分尼寺に丈六の阿弥陀如来像が造られ、故光明皇太后の供養に充てられた頃から発展してくる。
 この頃は国分寺が薬師信仰の道場となると共に、国分尼寺が阿弥陀信仰の道場と広隆寺の阿弥陀如来像が永原御息所によって造られた事も、この頃の阿弥陀信仰が女性の間に盛んであった事をうかがわせる。
 この像の造立に深く関係があるのは、奈良大安寺の僧で後に広隆寺別当となった道昌である。この像が造られた天長年間には、まだ、広隆寺別当になっていなかったが、天長七年(830)、に宮中の仏名懺悔の導師となって、宮中の人々に阿弥陀信仰を勧めた。
 仏名懺悔では直接阿弥陀如来の功徳を讃える事はないが、年の暮れに仏名を唱えると共に、地獄の苦しみが説かれて、過去一年間に積もった罪を懺悔するので、地獄の苦しみに対して阿弥陀浄土への憧憬が生まれてくる。
 恐らく、永原御息所は仏名懺悔に列して道昌の説法を聴聞し、阿弥陀像の造立を思い立ったのではあるまいか。
 この像が両手で古式の印を結び、奈良時代に流行した乾漆像の技法を残しているのは、大安寺出身の道昌が関係しているからであろう。
 また、広隆寺に平安時代の三千仏画像が伝来しているのは、この寺が道昌の影響を受けて、仏名懺悔が盛んであった事を物語っている。
「京都の仏像」 淡交社 1968年より

 天長十年(833)、頃に制作された広隆寺講堂の本尊阿弥陀如来像である。この像は、木彫と木心乾漆造との折衷式の作り方をしているが、様式的にも優美な天平様を脱皮し、強さが滲み出ている。
「日本の彫刻」 久野健編 吉川弘文館 1968年より

私 の 想

 下品上生の阿弥陀さんである。胸元で組んでいる。半眼の目はやさしい目をしている。須弥壇に衣が掛けられ、垂れ下がる。二重円形光背である。子供のようにふっくらとした丸顔、童顔の仏様である。
 平成21年10月に京都・滋賀「仏像観て歩き」を「仏像観て歩き研究会」の仲間と一緒に拝観旅行を行いました。その時には、次のように書いている。
 講堂にあるこの阿弥陀様は、外からも拝観出来る仏様である。そこで仁王門から入ってまずは最初に拝観する。ところが陽が西に傾いて来ていたので細かなところは観えない。
 普通の阿弥陀三尊は、聖観音と勢至菩薩を従えた三尊形式である。この広隆寺の講堂では、向かって右に、地蔵菩薩、左に虚空蔵菩薩を従えた三尊形式である。この配置は余り例がない。また、地蔵菩薩のところに如意輪観音が座る配置は、東大寺大仏殿の大仏様がそうである。大仏様は慮舎那仏坐像で本尊様が代ってしまう。そこで、例外として、広隆寺講堂形式と覚えると好い。
 更に、ここで大仏殿の配置まで、そう、慮舎那仏の三尊形式まで知ることが出来たのである。
「仏像観て歩き」の楽しさは、次々に出て来る事柄が、新鮮に感じられ、関連付けて発展させると、夜も眠れなくなる。あの寺の配置は、この寺の配置は、釈迦如来の三尊は、薬師如来の三尊はと発展して行く。
何方かの台詞で
「映画って好いですね」
というのがあった。私は
「仏像観て歩きって好いですね」
と言いたい。


阿弥陀如来坐像1画像一覧その1
阿弥陀如来坐像1画像一覧その2
阿弥陀如来坐像1
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