右手は肘を伸ばしたまま下に降ろす。左手は肘を折って胸の前にある。手首から先が失われてない。
顔は鳥の形になっている。口ばしは雀のようであり、先が曲がった肉食の猛禽類の口ばしではない。左の方向を向いている。
正面を向けている像が多いのに、左を振り向いている。この春に東京国立博物館に来ることになっている。左手の手首から先が無いのは仕方ないとして、右手の指先がどうなっているのかに、最も関心がある。それは右手の指先を考える手掛かりにも繋がる。 それに、鼻から上に連ねる鶏冠がどうなっているのかも気になる。海老のように観える額や頭頂も気になる。
平成21年4月に東京国立博物館で開催の「国宝 阿修羅展」での拝観では、次のように書いている。八部衆については、腰紐がどのようになっているかを調べることをテーマにしました。
長靴を履いている。×の模様が入っている。
腰紐は、お腹の前で広く拡げ、左右両腰から下に長く垂れ落とす。
前掛けは、四角い形である。
右手の指先は、ピアノを弾く時に、五指全部で鍵盤を弾いている指型に似ている。左手は、手首から先がない。しかし、右手の指型から想像すれば、同じようにピアノを弾くイメージトレーニング中ならば、五指共に少し折り曲げた形になっていたのではないだろうか。
鳥の口ばしを持つ面相である。頭頂に木心の木口がのぞく。更に上に立派な鶏冠でもあったのだろうか。
ボーイスカウトの少年達が赤や黄や緑のスカーフを首に巻き、肩から背に拡がるあれを巻いているのである。仲々のしゃれこきである。
図録に載っている頭頂の写真を観ると、立派な大きな鶏冠があったであろうことが、想像出来る。額の方から連なる鶏冠の一部が、高くなり始めたところで、破損している。
そして、木心の木口が飛び出しているから、その木口に盛り上げれば、立派な鶏冠は間違いなく着いていたと考えたい。
|