仏像名

ふりがな りゅうとうきりゅうぞう

興福寺
制作年代

国宝
鎌倉時代

竜燈鬼立像

様 式

建保三年(1215)

俗称又は愛称

製作材質

木造、玉眼
彩色

樹 種

像 高

77cm

製作者

康弁作

安置場所

国宝館

開扉期間

解 説

この像の胎内に建保三年(1215)、法橋康弁の造ったことが銘記されている。康弁は運慶の第三子であり、その力強さを受継いでいるが、気宇はちいさくなり、工芸的な味が強くなっている。
 姿態の奇抜さ、ユーモラスな表情は捨て難い。もと西金堂に安置されていたという。眉には銅板を、牙には水晶を用いている。なおこれと一対をなすものに天燈鬼がいる。
「仏像ガイド」 美術出版社 1968年より

 運慶の三男康弁の遺作に、建保三年(1215)、法橋位にあって造った興福寺の竜燈鬼像がある。天燈鬼と一対をなして、もと西金堂の壇上に置かれていた。
 仏前に燈籠を捧持する鬼形という奇抜な着想で、金剛力士の阿吽に習い、天燈鬼は開口し怒号しつつ燈籠を肩に負い、腰と右腕で吊り合いを取った、動的な姿を執るのに対し、竜燈鬼は口をしっかり結び、両腕を組んで頭上の燈籠を上目づかいに見上げながら、これを支える事に一心に集中する姿である。
 その各々の姿も、またその対照も卓抜である。両像とも周到な人体観察を基にした、大掴みな塊量的表現になっている。
 天燈鬼が確かに同人の作かどうかは判らないが、別人としても極めて親近の仏師の手になるものに違いない。
 共に空想的な鬼形を擬人化した上で、その表情身振りを通じて心理描写に達しており、湛慶の善膩師童子と同様に、運慶や定慶によって深められた立体表現や写実的手法を継承しつつ、見事な変奏を奏でたものと言えよう。
「運慶と鎌倉彫刻」 小学館 1973年より

私 の 想 い

 右手は拳を握って、腹の前で龍尾を力一杯きつく握っている。右手で左手首を握る。口をしっかり結んで、上を睨む。頭には六角の灯篭を載せる。大きな団子鼻をしており、鼻の両脇に牙が光る。
 龍は腹前で尻尾を握られ、右巻きに二巻きして、龍頭を右肩の上に顔を出す。右手の肘と左脇腹で、龍の中央部の自由を制し、更に龍の胴体を首に巻く。右肩の上で口を開けて火焔を噴き出しているのである。
 この像を観ると、どうしても笑ってしまう。腕組みは力を誇示しているのであるが、どう見ても笑いをこらえて、上を見て我慢しているようにしか見えないからである。
 眼を合わせてしまうと、お互いが、また笑ってしまう事がある。あれである。


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竜燈鬼立像
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