仏像名

ふりがな ろくぼさつはんかぞう

興福寺
制作年代

    重文
鎌倉時代

弥勒菩薩半跏像(厨子入り)

様 式

俗称又は愛称

製作材質

木造、金泥玉眼
漆箔、切金文様

樹 種

像 高

57cm

製作者

安置場所

国宝館

開扉期間

解 説

 釈迦の後継者として五十六億七千万年後にこの世に現れて、人々を苦しみから救うとされる。弥勒に対する信仰は弥勒菩薩とともに兜率天で五十六億七千万年間過ごした後、菩薩が如来になってこの世に現れる時に、ともに再生して救われようとする。
 この像はもと興福寺大乗院持仏堂に安置されていた。蓮華座に左足を踏み下げる半跏像で、左手は膝上で掌を上に中指・薬指を軽く曲げ、右手は曲げ掌を前に五指を開く。
 像底板の中央に丸く穴を開け、印仏や摺り仏が、多数納められている。厨子は春日厨子風、桧材寄木造で、黒漆塗り、各面とも両開きの扉。内面には黒漆地の上に厚手の彩色を施した祖師像などを彩画する。散華を彩画した天井から飛天をつるす。
 本像は像内や納入印仏にも年紀などの墨書は見当たらないが、像の様式から鎌倉時代初期の秀作であり、納められていた印仏も像造立当初のものと考えられる。
「法相宗大本山 興福寺」より

 入念に荘厳された美麗な弥勒菩薩半跏像で、極めて保存状態の良い貴重な作品である。もと大乗院持仏堂の本尊と伝え、黒塗りの厨子内に納められる。
 垂髻を結い、宝塔を表わした銅製鍍金の宝冠を戴き、鰭袖衣と天衣を着け、銅製鍍金の胸飾・瓔珞を着ける。両手は与願・施無畏風の印を結び、左足を踏み下げて坐る。
 天蓋(後補)からは飛天六体を吊り下げる。光背は、後屏形の身光に頭光を取り付けた特異な形式で、木材と金属を巧に使い分けて精巧に造られる。
 蓮華座は十二重の華麗なもので、蓮弁一枚ごとに弥勒菩薩像が描かれ、中ほどに獅子を表わし、下框上面には据玉を巡らせる。
 像の構造は、頭体の根幹部を前後二材製とし、内刳りの上、割首を施し、両腕や両脚部などに適宜別材を矧ぐ。
 表面は彩色仕上げで、繧繝や截金の技法を用いた多種の文様が像身を埋め尽くす。像内も丁寧に仕上げて漆箔を施す。金色の像内には、摺仏が多数納入されていた。
 両眼を大きく見開いた若々しい顔立ちや、瑞々しい張りのある肉どりなど、その作風には鎌倉時代前期の特徴が認められる。
 作家系統に関しては、髻や天冠台の形式に、慶派形式ではなく、保守的な形式が採用されている事が注目される。善美を尽くした入念な制作態度から見て、その造像には上級貴族が関与していると見て誤りなかろう。
「興福寺国宝展 東京芸術大学美術館 2004年より

私 の 想

 右手は肘を折って前に出し、手首を返して手の平を正面に向ける。左手は蓮華台から下に降ろした左足の膝上に手の甲を着ける。手の平を開いているけれども、中指と薬指を曲げて立てる。
 右足を半跏に組むが、だらしなく足裏を横に向け、足裏と足の五指が見える。左足は蓮華台の外に踏み降ろし、更に下の円形台の縁に乗せる。
 厨子に入っているためか、金箔も剥げていない。

弥勒菩薩半跏像画像一覧その1
弥勒菩薩半跏像画像一覧その2
弥勒菩薩半跏像厨子の扉画像一覧
弥勒菩薩半跏像
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